はじめに
ある日、突然、心臓がバクバクして息ができなくなる。
「このまま死んでしまうのではないか…」と救急車を呼んでも、病院では「異常なし」と言われる。
——それが何度も続くと、外出や通勤も怖くなってしまう。
これは、パニック障害の典型的なエピソードです。
この疾患に苦しむ方は、「また起こるかも」という不安から生活が大きく制限されるようになります。
本記事では、パニック障害の特徴と苦しさ、そして精神科訪問看護ができる支援について、詳しくお伝えします。
パニック障害とは?
パニック障害とは、突然の強い不安発作(パニック発作)を繰り返し経験し、
その再発への恐怖(予期不安)によって生活に支障をきたす疾患です。
🔹 主な症状(パニック発作)
- 動悸、息切れ、胸の痛み、めまい
- 発汗、震え、吐き気、身体のしびれ
- 「死んでしまうのではないか」という強い恐怖
- 「発狂してしまうかもしれない」という感覚
※発作のピークは10分以内でおさまることが多いが、本人にとっては非常に長く感じる
3つの特徴的な苦しみ
- 予期不安
「また発作が起こるのでは?」と常に不安になる。
結果として、電車や人混み、会議などを避けるようになる。 - 広場恐怖(外出困難)
「すぐに逃げられない場所」や「助けを求められない場所」が怖くなる。
→ 家から出られなくなることも。 - 周囲の理解不足
- 「気のせいじゃない?」
- 「甘えてるだけでしょ」
- 「気合でなんとかなる」
こうした誤解が、本人の孤立感をさらに深めます。
ご本人とご家族が抱えるリアルな声
- 「本当に苦しいのに、検査では何も出ない…」
- 「職場に行けなくなり、休職せざるを得なかった」
- 「発作を起こしてから、自分に自信がなくなった」
- 「家族に申し訳なくて、つい一人で抱え込んでしまう」
心臓や呼吸など“身体的”な症状が前面に出るため、精神疾患と気づかないケースも多いのが現状です。
訪問看護でできる支援(れむりあの実践)
✅ 1. 不安のパターンを把握し、安心材料を増やす
訪問看護では、まずは**「発作が起こる状況」や「不安の引き金」**を丁寧に聞き取ります。
そのうえで、以下のような“安心のルーティン”を一緒に整えていきます。
- 不安ノートの記録
- 呼吸法やリラクゼーションの練習
- 発作が出そうなときの「お守り行動」を共有(深呼吸・水を飲むなど)
🌿 訪問看護が「定期的な安心の時間」として機能することで、
不安の総量を減らすサポートになります。
✅ 2. 家から出られない方へのサポート
れむりあでは、訪問時間を1回30分に設定し、
ご本人の状態に合わせて柔軟な関わりを心がけています。
外出が難しい方でも、
- 自宅での傾聴・会話
- 将来の外出練習に向けた計画
- 「家にいても安心して支援が受けられる」という安心感の提供
が可能です。
✅ 3. 医療・福祉との橋渡し
ご本人が外来通院をためらっている場合でも、
- 週3回訪問+月1回(3時間以内)の受診同行制度
を活用し、治療の継続と状態の把握をサポートします。
「自分ではもう行けない…」という方も、
看護師の同行があることで安心して通院できるようになります。
✅ 4. ご家族の理解と対応力の向上
訪問時には、ご家族にも以下のようなサポートを行います。
- 発作が起きたときの対応法の共有(慌てず、否定せず、寄り添う)
- ご家族の不安や負担の傾聴
- 「本人がわがままなのではなく、病気の一部です」といった教育
※家族だけで対応し続けると、共倒れになるケースもあります。
よくある質問(Q&A)
Q. 精神科に通っていないのですが、訪問看護は利用できますか?
→ 医師の訪問看護指示書があれば利用可能です。まずはご相談ください。
Q. 発作時の様子を動画に撮って、医師に見せたほうがいい?
→ はい、非常に有効です。可能であれば記録しておくと診断や治療に役立ちます。
Q. 本人が「恥ずかしい」と言って訪問を拒否しています。どうしたら?
→ 最初は短時間、玄関先だけでもOK。「話を聞くだけ」から始める柔軟対応が可能です。
まとめ
パニック障害は、「見えない苦しさ」を抱えながら、
日々の生活を何とかこなそうと努力している方が多い疾患です。
発作は数分でも、そのあとの予期不安は一日中続くことがあります。
訪問看護では、その人の生活に寄り添いながら、
「少しでも安心して暮らせる時間」を積み重ねていく支援を行っています。
れむりあでは、その人らしさを取り戻すお手伝いを、焦らず、やさしく、丁寧に続けていきます。
「また発作が起こったらどうしよう」と一人で抱えず、ぜひ私たちにご相談ください。


