はじめに
「最近落ち着いているし、もう訪問看護は卒業していいんじゃない?」
「症状が治まってるのに、まだ看護が必要なの?」
このような声は、ご本人・ご家族・支援者のどこからも聞こえてくることがあります。
確かに、状態が安定してきたように見えると、「もう大丈夫かな」と思うのも自然な感情です。
でも実は、精神疾患の“再発リスク”は「落ち着いた今こそ」高まることもあるのです。
本記事では、精神疾患と再発の関係、訪問看護の果たす“予防的支援”の役割、れむりあの考える“卒業のタイミング”について詳しくご紹介します。
精神疾患の「再発」とは?
まず知っておいてほしいのが、精神疾患には再発しやすい性質があるということです。
よくある再発のタイミング
- 症状が軽くなって、治療や支援を中断したとき
- 生活環境が大きく変わったとき(引っ越し、就職など)
- 季節の変わり目(春・秋)、生活リズムの崩れ
- ご家族・支援者が“安心して気が緩んだとき”
➡ つまり、「落ち着いてきたからもう大丈夫」と思って支援を減らした結果、
“不調の兆し”を見逃してしまい、症状が一気に悪化するというケースが多いのです。
よくある誤解:「治った」と「落ち着いている」は違う
精神疾患は、**完治というより“コントロールしながら付き合っていく”**ことが多い病気です。
たとえば、糖尿病や高血圧のように、
- 薬を飲み続ける
- 生活習慣を整える
- 定期的に医療者と連絡を取る
ことで安定を保つのと同じように、
精神疾患も「落ち着いている=治った」ではないということを理解する必要があります。
訪問看護の“本当の力”は「治す」より「守る」
れむりあの精神科訪問看護では、以下のようなことを目的としています:
- 再発の“兆し”を早期にキャッチ
- ご本人が「何かおかしい」と感じたときに安心して相談できる存在になる
- ストレスにさらされたときに“戻る場所”を確保する
- 治療や通院を“続けるためのサポート”を行う
つまり、“何も起きないようにする”ことが最大の仕事なのです。
実例:訪問を減らした結果、再発したBさん
Bさん(40代・女性)は、うつ病で通院・訪問看護を受けながら、日常生活を安定して送っていました。
ご本人も「だいぶ良くなったと思うので、訪問は月1回で」と希望されたため、支援を縮小。
その後、たまたま生活の中でいくつかのストレスが重なり、
訪問時にはすでに再発のサインが表れていました。
結果として、再入院となり、生活リズムの再構築にまた時間がかかることに。
→ 訪問看護を続けていれば、「前兆」に早めに対応できた可能性がありました。
「卒業」しても良いタイミングとは?
れむりあでは、訪問看護を“ずっと続けてほしい”とは思っていません。
むしろ、ご本人の力が育ち、自分の生活を自分でコントロールできるようになることを願っています。
ですが、卒業に向けては慎重に以下を確認しています:
✔ 安定して半年以上が経過している
ただ「今は落ち着いている」だけでなく、継続的に安定している期間があるかがポイントです。
✔ 服薬・通院が自発的にできている
看護師がいなくても、「自分で続けよう」という意識が根づいていることが大切です。
✔ 再発リスクを一緒に考えられる
「自分にはこういう時に不調が出やすい」という自己理解が進んでいることも重要です。
✔ 緊急時の相談先が明確になっている
訪問がなくなっても、不調を感じたらどこに相談すればいいかを把握できているか。
“減らしていく”ことも卒業への道
いきなり「ゼロ」にするのではなく、
- 週3 → 週2 → 週1 → 隔週 → 月1回
- 1回30分の訪問 → 状態によって電話支援や簡易訪問に切り替える
など、ご本人と話し合いながら少しずつ減らしていくことが、成功的な卒業への近道です。
れむりあでは、こうした段階的支援の中でも、
「もし再発したときはすぐ連絡くださいね」という**“安全ネット”を残す支援**を行っています。
ご家族・支援者の皆さまへ
「もう治ったからいいんじゃない?」とご本人が言うと、
つい「それならやめてみようか」と判断しがちですが…
- 治ったように見えるけど、実はまだ脆い
- 看護師が来ることで生活のリズムが保たれている
- 言えない不安を“訪問の中でこっそり伝えていた”
…といった“見えない支え”があることも多いのです。
**「今が安定しているのは、支援があるからこそ」**という視点をぜひ大切にしてください。
よくある質問(Q&A)
Q. 「訪問をやめたい」と言われたら、どうすればいい?
→ その気持ちをまず尊重しつつ、再発予防の大切さや、段階的な支援の方法を一緒に考えることが重要です。
Q. 訪問看護を一度やめて、また再開することはできる?
→ もちろん可能です。再発や環境変化があれば、医師の指示で再度開始できます。
Q. 卒業を前提に訪問看護を導入することもできる?
→ はい。短期的な支援プランや目的を明確にした訪問も対応可能です。
おわりに
精神科訪問看護は、“治療が必要な時だけ”のサービスではありません。
「安定を維持するため」「再発を防ぐため」にこそ、訪問看護の力が活きるのです。
れむりあは、ご本人が自分らしく生きていくための「静かな支え」でありたいと思っています。
卒業はゴールではなく、「自分の力で歩き続ける」ためのステップです。
焦らず、慎重に。
そして、必要なときはいつでも戻ってこられる。
そんな訪問看護でありたいと、私たちは考えています。


