精神科訪問看護の“ほんとうの仕事”
はじめに
「訪問看護って、点滴とか注射とかするんですよね?」
「うちの子はケガもしてないし、訪問看護はいらないです」
こんなふうに、“訪問看護=医療処置”というイメージを持たれている方は少なくありません。
特に精神科訪問看護においては、その“中身”が見えにくいことから、誤解や認知不足がまだまだ多いのが現状です。
本記事では、精神科訪問看護の本当の役割、医療処置との違い、そしてれむりあが大切にしている“心に寄り添うケア”について、わかりやすくお伝えします。
「処置がないと訪問できない」…は誤解です
訪問看護という言葉からは、
- 注射
- 点滴
- 傷の処置
- バイタル測定
といった医療行為を連想する方が多くいらっしゃいます。
確かに、身体疾患を持つ方への訪問では、そうした“医療処置”が中心となるケースもあります。
しかし、精神科訪問看護では、「処置」は必ずしも必要ではありません。
むしろ、“何もしないように見える時間”の中にこそ、専門的なケアが詰まっているのです。
精神科訪問看護の目的は「安心と回復の土台づくり」
精神疾患を持つ方にとって、生活の中にはさまざまな課題が潜んでいます。
- 外出できない
- 人と話すのが怖い
- 朝起きられない
- 急に涙が出てくる
- 幻聴がつらい
- 家族と衝突する
これらは、いわゆる“治療”の対象にはならないことが多く、
病院やクリニックでの数分の診察では支えきれない部分です。
そこで訪問看護の出番です。
ご本人の「生活の場」に直接伺い、心と体の状態を見守りながら、安心できる関係性を築いていくのが、精神科訪問看護の基本姿勢です。
れむりあでの具体的な支援内容(処置ではないけど“専門的”なこと)
れむりあでは、1回30分の訪問の中で、以下のような支援を行っています:
① 服薬支援(お薬を飲めているか、記録の確認など)
- 体調や副作用の聞き取り
- 飲み忘れを防ぐ声かけや工夫の提案
- 必要に応じて医師へのフィードバック
② 生活リズムの調整サポート
- 朝起きられない方への“朝の訪問”
- 食事・睡眠・入浴などの確認とアドバイス
- 必要に応じて散歩や簡単な運動を一緒に行うことも
③ 傾聴・対話を通じた感情の安定支援
- 不安やイライラの原因を一緒に整理する
- 家族や職場・施設との人間関係の悩みを共有
- 幻聴や妄想への対応方法を一緒に考える
④ 関係機関との橋渡し
- 医師への情報提供・診察同行(週3回利用者に対し月1回)
- 福祉サービスとの連携調整
- ご家族からの相談への対応
💡これらはすべて、「処置」ではないけれど、“専門的な看護”です。
「何もしてないように見える」支援が、一番大事なこともある
ある利用者さんは、はじめのころ一言も話しませんでした。
ただ横に座って、10分間、静かに過ごす。
ある日、ふいに「…今日、天気いいね」とつぶやいたその一言が、信頼関係のスタートでした。
その後、数ヶ月をかけて少しずつ言葉が増え、
現在では受診も一人でできるようになり、就労支援に通えるまでになりました。
「ただ来てくれる」ことが、その人の心を支えている。
精神科訪問看護では、そんな関わりが日常的に行われています。
処置を求める支援ではなく、“人としての回復”を支える
精神科訪問看護は、治療よりも**「再発を防ぐ」**こと、
問題を“未然に察知する”ことに重きが置かれています。
- 生活の変化を敏感にキャッチ
- 小さな不調やストレスの芽に気づく
- 安心できる関係性の中で、SOSを出せるようにする
これは“処置”ではなく、**「人に寄り添う医療」**です。
支援者・福祉職・ご家族の皆さまへ
もしあなたの周りに、以下のような方がいたら、
ぜひ精神科訪問看護の利用を検討してみてください。
- 一人で病院に行けない
- 不安や妄想が強く、生活が不安定
- 家族の支援だけでは限界を感じている
- グループホームなどの職員だけでは手が回らない
れむりあでは、制度の説明・契約・初回訪問まで丁寧に対応しております。
訪問は、週1回からでも大丈夫です。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 訪問看護で何もしない時間があるのは“無駄”じゃない?
→ いえ、その“無言の時間”が大切です。沈黙にも意味があり、安心が生まれる瞬間です。
Q. 本人が話してくれないけど、それでも訪問できる?
→ もちろん可能です。関係性を築くことが目的なので、会話がないこと自体を“拒否”とは受け取りません。
Q. 精神科医や病院で診てもらっているのに、訪問看護は必要?
→ 病院は“月に1回の診察”が多く、日常の変化には対応しきれません。訪問看護は“生活の中の医療”です。
おわりに
「訪問看護って、処置をするところでしょ?」という誤解は、
精神科訪問看護の本質を見えにくくしています。
れむりあでは、
処置ではなく“安心”を届けること、
指示ではなく“関係”をつくることを、なによりも大切にしています。
誰かの隣に、静かにそっと座ること。
そのたった30分の訪問が、人生を支える力になる。
それが、精神科訪問看護の“ほんとうの仕事”です。


