はじめに
「訪問看護とヘルパーって、何が違うの?」
「食事や掃除をしてくれるなら、ヘルパーでもいいんじゃないの?」
実際の支援現場やご家族の中には、こうした疑問をもつ方が少なくありません。
特に精神疾患や知的障害をもつ方を支援する場面では、支援の境界線があいまいになりがちです。
今回は、精神科訪問看護ステーション「れむりあ」の視点から、
ヘルパー(居宅介護・家事援助等)と訪問看護の違いについて、実例も交えて分かりやすくお伝えします。
結論:目的と職種が違います
まず、もっとも大きな違いは次の通りです:
| 項目 | 精神科訪問看護 | ヘルパー(居宅介護・生活援助) |
|---|---|---|
| 支援の目的 | 医療的支援・精神的安定 | 生活援助・身体介助 |
| 担当者 | 看護師・保健師・作業療法士など | 介護福祉士・ヘルパー(初任者研修など) |
| 保険制度 | 医療保険 or 介護保険 | 障害福祉サービス or 介護保険 |
| 主な内容 | 服薬管理、体調管理、心のケア、情報連携など | 掃除、洗濯、調理、買い物、排泄介助など |
精神科訪問看護で行うこと(れむりあの場合)
- 服薬の管理・確認・副作用チェック
- 睡眠・食欲・気分の変動を把握し、主治医に報告
- 幻聴・妄想などへの対応と安心の提供
- 再発リスクの“兆し”を察知し、医療機関と連携
- ご本人の困りごとの整理と、行動支援(就労、通院、生活改善)
🔍「ただ話すだけ」「ただ一緒にいるだけ」に見えることもありますが、それが“治療的支援”になるのが訪問看護です。
ヘルパーさんがしてくれること
- お部屋の掃除
- 食材の買い物や調理
- 洗濯、日用品の補充
- 排泄や入浴などの身体介助(身体介護を含む場合)
- 通院・外出同行(内容・地域によって制限あり)
🔍「日常生活を送る上で必要な“手”を貸す」のが、ヘルパーさんの役割です。
よくある“勘違い”ケース
ケース1:「訪問看護なのに掃除してくれないんですか?」
→ 訪問看護は**“生活支援ではなく、医療支援”**です。
必要があれば、掃除の必要性を伝え、ヘルパー導入の提案や連携を行います。
ケース2:「お風呂に入れてほしいんです」
→ 入浴介助は、基本的にヘルパーの専門領域です。
ただし、精神的な不安が強い方には、**安心して入浴できるよう“声かけ”や“見守り”**を訪問看護師が行うこともあります。
ケース3:「通院に付き添ってくれるなら、どっちでもよくない?」
→ れむりあでは、週3回訪問されている方に対し、月1回(3時間以内)の受診同行が可能です。
この同行の特徴は、以下のような**“医療連携を前提とした同行”**であることです:
- 医師への情報提供
- 症状や副作用の報告
- ご本人が伝えにくい内容の代弁
- 次回訪問や治療計画の調整
一方、ヘルパーさんの通院同行は、送迎・付き添いのみで医療内容には介入しません。
“役割のすみ分け”が利用者の安心につながる
ご本人にとって、訪問看護もヘルパーも“どちらも必要”な支援であることが多いです。
ですが、その支援の目的があいまいなままだと:
- 看護師が生活支援を求められてしまう
- ヘルパーさんが医療的対応を求められてしまう
- 支援者が疲弊し、連携がうまくいかなくなる
…といった問題が起きてしまいます。
そこで、れむりあでは:
- 「どんな支援を、どの専門職が担うか」を説明
- 連携する福祉職と目的のすり合わせ
- ご本人にも“チーム支援”の視点を持ってもらう工夫
を徹底しています。
一緒に支える「チーム」のあり方
| 役割 | できること |
|---|---|
| 精神科訪問看護 | 心と体の変化への対応、医師との連携、精神的支え |
| ヘルパー | 食事・掃除・入浴など、生活そのもののサポート |
| ご家族 | 日常の継続的な見守り、感情的な支え、愛情的な関係性 |
| 医師・相談員 | 診断・治療方針・制度利用の調整 |
このようにそれぞれの専門性を活かして支援を分担することで、ご本人がより安定した生活を送れるようになります。
れむりあのスタンス:補完しあう関係性を
訪問看護師とヘルパーは、どちらが“上”というわけではありません。
それぞれの専門性を持ち寄り、ご本人のために役割を果たす仲間=チームです。
れむりあでは、次のような視点でヘルパーさんと連携しています:
- 支援における困りごとの共有(例:拒薬、暴言、不安定など)
- 情報共有(連絡ノート、電話、ケース会議など)
- 緊急対応時のルート確認(どこまで誰が動くか)
よくある質問(Q&A)
Q. ヘルパーと訪問看護、同じ日に利用できる?
→ 可能です。ただし時間がかぶらないように調整が必要です(制度上の制限あり)。
Q. 精神疾患のある方は、ヘルパーも使えるの?
→ はい。障害福祉サービスとしての「居宅介護」や「生活援助」が利用可能です(支給決定が必要)。
Q. 訪問看護で掃除や調理を一緒にすることもある?
→ その活動自体が“自立支援や観察”の一環であれば、可能なケースもあります(例:調理を通じて生活能力を評価するなど)。
おわりに
精神科訪問看護とヘルパーの違いは、
“何をしてくれるか”ではなく、**“何を目的として支援しているか”**にあります。
- 心の不安にそっと寄り添うのが訪問看護
- 日々の生活を具体的に支えるのがヘルパー
どちらも、必要不可欠な存在です。
そして、その違いを理解して組み合わせることが、ご本人の安心と回復につながる最善の支援になります。
れむりあは、これからも“チームの一員”として、
福祉・家族・医療が連携しやすい環境づくりを大切にしていきます。


