はじめに
精神や知的障がいのある方々が地域で生活を営むうえで、
グループホーム(GH)や就労継続支援事業所(A型・B型)、生活介護などの福祉サービスは欠かせません。
同時に、病状の安定や再発予防のためには、医療的な視点による関わりが非常に重要となります。
その橋渡しを担うのが、私たち**精神科訪問看護ステーション「れむりあ」**のような在宅医療の支援チームです。
本記事では、福祉職の皆さまに向けて、
**「訪問看護をどう活用するか」「どう連携すれば互いにスムーズか」**を、実際の訪問事例や制度の視点も交えてご紹介します。
訪問看護って、福祉施設とどう違うの?
まずは、訪問看護と福祉サービスの根本的な違いについて明確にしておきましょう。
| 項目 | 福祉サービス(GH・就労支援など) | 訪問看護(精神科) |
|---|---|---|
| 主な役割 | 日常生活の支援・就労機会の提供 | 医療的観察・精神面の安定支援 |
| 担当者 | 生活支援員・支援スタッフなど | 看護師・保健師・作業療法士など |
| 対象 | 利用契約した施設内または通所中 | 利用者の居宅(グループホームも含む) |
| 法的根拠 | 障害者総合支援法など | 医療法・訪問看護指示書による医療保険 |
つまり、福祉は“日々の生活”を、訪問看護は“こころと体の状態”を専門的に支える役割を担っています。
よくある現場でのつまずき
ケース1:服薬をめぐる連携ミス
あるGHの利用者さんが、「薬を飲みたくない」と言い始め、
支援員が困ってれむりあに相談がありました。
➡ 実際には、副作用の不安があったことが原因。
訪問看護師が直接話を聞き、医師に情報提供することで薬の調整が行われ、服薬は再開されました。
このように、服薬管理は“看護職の関与”があることでスムーズになるケースが多くあります。
ケース2:急な行動変化を「福祉側だけ」で抱えてしまう
- 「急に怒りっぽくなった」
- 「表情がない」
- 「話がかみ合わない」
これらの症状変化に対して、福祉職が“生活上のトラブル”と受け止め、
精神症状としてのリスクを見落とすことがあります。
➡ れむりあでは、福祉職の方からの“ささいな変化報告”を大切に受け取り、
必要に応じて主治医と連携しながら、再発予防や医療調整に動いています。
訪問看護と上手に連携するための5つのポイント
① 情報共有は“ちょっとしたこと”でOK!
「忙しいのに報告するのは申し訳ない…」と遠慮されることもありますが、
たとえばこんな情報だけでも大きなヒントになります:
- 朝の表情が曇っている
- トイレの回数が増えた
- 最近、食事を残すようになった
- やたらと落ち着きがない/過眠が増えた
➡ 精神症状は、“生活のちょっとした変化”として先に表れます。
② 看護師は“敵ではない”|一緒に考えるチームメンバーです
ときに、「医療からの指導」に抵抗を感じる福祉職の方もいます。
ですが、私たち訪問看護師は**“上下”ではなく“連携”の立場**です。
たとえば、
- 日中の様子について意見交換
- 対応が難しい利用者さんの見守り方法を一緒に検討
- ご本人の“生活力”を育てる関わり方の工夫 など
➡ 私たちも現場での知恵を共有しながら、より良い支援を共創したいと考えています。
③ ご本人を“共通の主語”に
「支援の視点が違っても、目的は一つ」
それは、ご本人の安定した地域生活の実現です。
訪問看護では、医療職としてのアセスメントや精神面の変化をキャッチし、
福祉施設では、日常生活や就労活動での姿を把握できます。
➡ それぞれの情報をすり合わせて支援計画を立てれば、再発・入院リスクを大きく減らすことが可能です。
④ 月1回の受診同行制度を活用しよう
れむりあでは、週3回訪問をご利用の方に対して、
**月1回・3時間以内の“受診同行サービス”**を実施しています。
- 病院での説明が本人だけでは難しい方
- 家族が付き添えない方
- グループホーム職員が同行できないケース
このような場合に、医療的視点での受診同行支援が可能です。
ご本人の不安を和らげ、医師にも正確な情報が伝わる利点があります。
⑤ 何かあれば「とりあえず相談」してOK
訪問看護は、定期訪問以外にも電話連絡や情報共有を通じた連携ができます。
- 通所先での急な不調
- 家族からの苦情
- 就労先とのトラブル
- 言動の変化に支援員が不安を感じたとき
「こんなこと聞いていいの?」ということでも、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q. グループホームでも訪問看護は使えるの?
→ はい、可能です。施設の居室が“居宅”と見なされます。
Q. 訪問看護の費用は誰が払うの?
→ 原則として医療保険+自立支援医療制度の1割負担(+交通費など実費)です。福祉施設側に費用負担はありません。
Q. スケジュール調整はどうするの?
→ ご本人・福祉施設・主治医の調整を経て、れむりあと契約・開始となります。柔軟にご相談いただけます。
おわりに
精神や知的障がいをもつ方が、地域で「その人らしく」生きていくには、
医療と福祉が“しっかり連携した”チーム支援が不可欠です。
グループホームや就労支援事業所の支援員の皆さまと、
訪問看護ステーションれむりあが同じ方向を見て、ゆるやかにつながること。
それが、本人にとっての“安心”と“継続可能な生活”を育てます。
「ちょっと聞いてみようかな」と思ったら、
いつでもお気軽に、れむりあにご連絡ください。

