はじめに
「誰かに見られている気がする」
「頭の中に声が聞こえる」
「家族が何かを企んでいる気がする」
こうした言葉を耳にすると、私たちはつい「現実と区別がついていない」と捉え、
「怖い」「理解できない」と距離を置いてしまいがちです。
しかし、統合失調症の背景には、脳の情報処理の不調という“病気”が存在し、本人は日々、見えない恐怖と戦い続けています。
この記事では、統合失調症の基本的理解から、精神科訪問看護「れむりあ」がどのように支援しているかを、具体的にお伝えします。
統合失調症とは?
統合失調症は、主に思考・感情・認知機能に影響を及ぼす脳の疾患で、100人に1人がかかるといわれています。
発症のピークは10代後半から30代前半で、初期は「何となく元気がない」「話さなくなった」などの曖昧な兆候から始まることが多いです。
主な症状
① 陽性症状(本来ないものが現れる)
- 幻聴(誰かに話しかけられる声が聞こえる)
- 妄想(盗聴されている、監視されている)
- 思考の混乱(話がとびとびになる、会話が成り立たない)
② 陰性症状(本来あるべきものが減る)
- 感情の平坦化(喜怒哀楽が乏しくなる)
- 無気力、引きこもり、社会的な孤立
- 自発性の低下(やる気が出ない)
③ 認知機能の障害
- 記憶力や注意力の低下
- 段取りができない、話の要点がつかめない
- 生活能力の低下
本人の苦しみと周囲のギャップ
統合失調症は、外見ではわかりにくく、症状も変動しやすいため、
「怠けている」「サボっている」と誤解されることがあります。
しかし、本人にとっては、
- 頭の中で常に誰かに批判されている
- 世界が“本物”か“偽物”か分からない
- 記憶があいまいで、人との会話も不安
という、24時間途切れない不安と混乱の中で生活しています。
訪問看護「れむりあ」ができること
れむりあでは、統合失調症の方に対して以下のような関わりを大切にしています。
✅ 1. 否定せず「一緒に感じる」姿勢
幻聴や妄想を「そんなわけないでしょ」と否定してしまうと、
本人はさらに孤立し、「誰も分かってくれない」という確信を強めてしまいます。
れむりあでは、
- 「そう感じているんですね」と、事実ではなく“感情”に寄り添う
- 状況に応じて「その時どう感じたのか?」を一緒に言語化する
- 医師との連携で、薬の調整や不安要因の特定を行う
という形で、安心と信頼の関係性を築いていきます。
✅ 2. 決まった時間に訪問する「予測可能性の支援」
統合失調症の方は、不規則な予定や急な変化に強い不安を感じやすいため、
訪問時間をできるだけ固定し、毎回同じスタッフで対応するよう心がけています。
また、訪問では、
- その日の体調確認と服薬確認
- 睡眠・食事など生活リズムのチェック
- 日常の悩みや不安の共有
を30分という限られた時間の中で、焦らず・詰め込まず行います。
✅ 3. 「今できていること」に光を当てる
統合失調症の方は、「できない自分」に注目しすぎてしまい、自己肯定感が極端に低くなる傾向があります。
訪問時には、
- 前回より少し早く起きられた
- ゴミを出せた
- 他人と5分間会話できた
など、小さな成功体験を一緒に喜ぶことを重視しています。
「それ、いいですね」「頑張りましたね」と声をかけることで、
「自分は回復できるかもしれない」と思えるようになります。
✅ 4. ご家族へのサポートも大切に
れむりあでは、ご家族が疲弊してしまわないよう、以下の支援も行っています。
- 訪問時のフィードバックや様子の共有
- 「こう関わると良いかも」といった対応のコツを伝える
- 医療機関や福祉サービスとの連携サポート
- ご家族自身のストレスケアの提案
✅ 5. 二次障害・再発予防への視点
統合失調症は、寛解と再発を繰り返す慢性疾患でもあります。
再発を予防するため、れむりあでは、
- 服薬アドヒアランスの支援(副作用・飲み忘れ対策)
- ストレスの兆候の見える化
- 作業所や就労支援との連携
- 月1回の受診同行(週3回利用者の場合)
など、ご本人の「生活そのもの」を継続的に支える体制を整えています。
よくある質問(Q&A)
Q. 統合失調症は治らないのですか?
→ 治療と支援を継続することで、症状が安定し、自立した生活を送る方も多くいます。
Q. 幻聴があるときはどうしたらいいですか?
→ 否定せず、「怖かったですね」「どう感じましたか?」と、感情に寄り添うことが大切です。
Q. 訪問看護の30分で何ができるの?
→ れむりあでは、一人ひとりに合わせて、**「安心・継続・信頼」**の関係づくりを軸に支援しています。
事例紹介:Sさん(40代・男性)
Sさんは統合失調症の診断を受け、長年引きこもり生活を送っていました。
家族との関係も悪化し、外出は年に数回という状態でした。
れむりあでは、週3回の訪問を開始し、
- 朝起きる時間を整える支援
- 幻聴に対して「自分でコントロールできる感覚」を持てるよう練習
- 月1回の受診同行で医師との橋渡し
- 家族との対話の場づくり
などを継続した結果、現在は地域作業所に通えるようになり、日中の居場所ができました。
まとめ
統合失調症の支援は、「正す」ことではなく「整える」ことです。
幻聴や妄想は、すぐに消えるものではありません。
でも、「あなたは一人じゃない」「ここに味方がいる」という体験の積み重ねが、
本人の“生き直す力”を育てていきます。
精神科訪問看護「れむりあ」は、今日も30分の訪問の中で、
その方の「本来の姿」と再び出会えるように、そっと寄り添い続けています。


