疾患別で知る精神科訪問看護

「伝わらない苦しさに寄り添う」知的障害のある方への訪問看護とその支援の本質

はじめに

「わかってもらえない」
「どう言えばいいのかわからない」

知的障害のある方は、日常生活の中で、こうしたもどかしさや孤独を抱えていることが少なくありません。
それは本人だけでなく、ご家族や支援者にとっても大きな悩みの種です。

精神科訪問看護ステーション「れむりあ」では、知的障害のある利用者様への支援依頼を受けることが多くあります。
その際に大切にしているのは、“できないこと”ではなく、“その人らしく生きること”を支える視点です。


知的障害とは?

知的障害は、知的機能の発達が平均より明らかに低く、日常生活や社会生活において支援が必要な状態を指します。
医学的にはIQだけでなく、適応行動(コミュニケーション・身辺処理・社会性など)への影響も含めて評価されます。

主な区分(目安)

  • 軽度:日常生活はある程度自立。学習や社会的判断が苦手。
  • 中度:簡単な日常動作は自立可。複雑な判断や抽象的思考は難しい。
  • 重度〜最重度:生活全般にわたって継続的支援が必要。

知的障害の原因は多様で、遺伝子の変化、妊娠・出産時のトラブル、病気や外傷などが影響することもあります。


現場でよくある困りごと

知的障害のある方と関わる中で、訪問看護が相談を受ける場面には共通する特徴があります。

  • 服薬や通院が自己管理できない
  • 体調変化や痛みを言葉でうまく表現できない
  • 感情コントロールが難しく、突発的な行動がある
  • 生活リズムの乱れ(昼夜逆転、食生活の偏りなど)
  • 金銭管理や契約トラブル
  • 人間関係やSNSトラブル

これらは、本人の特性だけでなく、支援環境や周囲の理解不足によって悪化することも少なくありません。


訪問看護でできる支援

れむりあでは、知的障害のある方に対して以下のような支援を行っています。

✅ 1. 健康管理と医療連携

  • バイタルチェック(血圧・脈拍・体温など)
  • 持病の管理(糖尿病、てんかんなどの併存症への対応)
  • 医師との情報共有(症状の変化、副作用の有無など)

✅ 2. 服薬支援

  • 飲み忘れ防止のためのカレンダーや薬ケースの使用
  • 飲み方の説明を視覚的・具体的に
  • 薬の効果や副作用を本人・家族と一緒に確認

✅ 3. コミュニケーションの工夫

  • 短く、具体的な言葉で話す
  • 写真やイラストを使って説明
  • 「できたこと」を必ず肯定的にフィードバック

✅ 4. 生活スキルの向上

  • 買い物や調理の練習
  • 衛生管理(手洗い、歯磨き、入浴など)
  • 金銭管理の基本(必要に応じて支援者と連携)

✅ 5. 感情の安定を支える

  • ルーティンや予測可能なスケジュールの作成
  • ストレス時の対処法を一緒に練習
  • 安心できる居場所づくり

家族や施設との連携

知的障害のある方の生活は、本人・家族・支援者の三角形で成り立っていることが多いです。
れむりあでは、訪問時に得られた情報を家族や施設と共有し、「誰が何をどこまで支援するか」を明確化します。

また、ご家族の「疲弊」や「孤立」にも注意を払い、必要に応じてレスパイト(休息)や相談先の紹介を行います。


事例:Sさん(20代・男性・中度知的障害)

Sさんは、糖尿病の自己管理が難しく、食事制限も守れず入退院を繰り返していました。
訪問看護導入後、れむりあのスタッフは、

  • 写真付きの食事メニュー表を作成
  • 血糖測定を一緒に行い、数値と食事内容をリンクさせる練習
  • 家族と連携し、買い物時の選択肢を制限する工夫

を継続しました。
半年後、入院回数はゼロになり、本人も「病院に行かなくていいのが嬉しい」と笑顔を見せるようになりました。


訪問看護の意義

知的障害のある方にとって、訪問看護は**“医療”と“生活”の間を埋める架け橋”**です。
医療的なサポートだけでなく、日常生活に即したきめ細やかな支援が、本人の自立や安心につながります。


まとめ

知的障害のある方への訪問看護で大切なのは、
「できないこと」を減らすより、「できること」を増やす支援です。

れむりあは、その人のペースや特性を尊重しながら、地域で安心して暮らせる環境づくりをサポートし続けます。

シェアする
lemuriaをフォローする
精神科訪問看護ステーションれむりあ 【伊勢崎 太田 桐生 みどり 前橋 高崎 玉村町】
タイトルとURLをコピーしました